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「ワルシャワ労働歌(ワル労)」

左翼の闘争歌です。
「インターナショナル」「メーデー歌」「第七旅団の歌」とならぶ有名曲です。
活動家の間では「ワル労」とも呼ばれ
闘争の現場で歌われることが多かったそうです。

「作詞」はポーランドの詩人ですが、ロシア革命で歌われて広がったため、
ロシア語訳のほうが広く知られているようです。
日本語の訳詩は、プロレタリア文学作家の鹿地亘。

「作曲」のほうは、
「ポーランドの革命歌」「ロシアの革命歌」「ポーランド民謡」「作曲者不明」と
様々に言われてます。
なかには「作曲・グルジシャノフスキー」としてるのもありますが、
誰なんでしょうね。

元はポーランドの労働歌です。
えーと……、
闘争歌ではなくてワークソング、つまり民謡。
ポーランド民謡の「はるかな青空」です。
このリンク先でメロディだけを聴くことができます。

http://www.s-pst.info/s-douyou/00_sound/1482.htm

シンプルでいいですよね。
「はるかな青空」の原綴が分からないので、
ポーランド民謡そのものは聴けませんでした。
何の作業で歌われていたかも分かりません。
残念。

いずれにせよ、民謡ですから「作曲者不詳」です。
民謡は人々の間で歌いつがれながら、曲ができあがっていきますから、
作詞者も作曲者も分かリません。
人々のもの、としか言いようがないですよね。

ただ、
日本の新民謡は違います。
作詞者も作曲者もはっきりしています。
大正期から昭和初期にかけて、民謡の再編運動がありました。
その時にできたのが新民謡。
「ご当地ソング」とも呼ばれます。
有名なのは「東京音頭」「ちゃっきり節」「(現在知られている)炭坑節」などです。

新民謡運動は文部省が主導し、北原白秋,野口雨情,中山晋平らが参加、
全国的な広がりをみせ、ヒット曲も生まれました。
しかし、それは民謡の西洋音楽化でした。
「ヨナ抜き音階」で作曲し日本音楽の特徴を残した、と言われてますが
五線譜上で「ファ」と「シ」を抜いても、それは西洋音楽の学理での話です。

もちろん、新民謡にも例外はあります。
赤間森水が歌った「大漁唄い込み」は名曲ですし、
(YouTubeの音源とは違います)
おそらく私が知らないだけで、西洋音楽化しなかった曲はあると思います。

大きな流れを言えば、
明治時代に、学校の音楽教育に西洋音楽が取り入れられ、
昭和初期に、地域の音楽であった民謡が西洋音楽化しました。
音楽はSP盤やラジオで、全国的に流通するようになりました。
童謡や唱歌も同じですね。

そして、
再び「ワルシャワ労働歌」



何だかなあ。
日本の労働者の歌声としては、残念な気がしませんか。
左翼もまた「ヨーロッパ近代」ですね。

ご丁寧にYouTubeのタイトルが「ワルシャワの労働歌 」。
だから、労働歌は……。
もう。
by sunra-cloudy | 2014-01-28 00:40 | 音楽
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